源 田 雅 史
(公財)兵庫県園芸・公園協会 業務部公園管理課 課長
1、はじめに
令和2年5月25日に新型コロナウイルス感染症緊急事態が終了し、段階的に経済活動が再開され、新しい生活様式の定着とともに、感染拡大防止と経済再生の両立が図られています。
新型コロナウイルス感染症対策は、公園利用者への安全・安心への危機管理が大きく問われ、私の職場である(公財)兵庫県園芸・公園協会においても、毎日のように感染拡大の情報収集や対策を協議し、実施を積み重ねてまいりましたが、これまで経験したことの無いことばかりでした。
この経験を今後の公園管理における感染症予防に生かす必要がありますが、二度と経験したくないのは誰しも思うことでしょう。
2、明石公園での対策の経緯
私が担当する明石公園における最初の新型コロナウイルス対策は、2月末に行われる予定であった大型イベント「冬の味覚市」の開催可否における判断でした。
大型イベントの開催に懸念の声が急増している時で、開催について多くの心配するご意見をいただきました。
他府県の大型イベントも中止が相次ぎ、「冬の味覚市」も中止となりましたが、楽しみにしているお客様も多い中、苦渋の決断でありました。
3月に入ると県立学校の一斉臨時休業が実施され、感染拡大の影響を感じさせず、公園は親子連れで賑わうようになりましたが、その後に控える春の風物詩をどう乗り切るか、毎日過ごしておりました。
そうです!桜(ソメイヨシノ)が開花するのです!
◎明石公園花見客対策
明石公園の桜は、平成2年に「日本さくら名所100選の地」に選定された全国でも有数の桜の名所であり、昨年の開花期間中は285千人の来園者で賑わいました。
明石公園における桜花見の対策は、
①一般花見客の来園・食事は妨げないが、園内での飲酒の禁止を要請。
②グループ同士の間隔が密にならないよう、一定の間隔で宴会ポイントに目印を設ける。
③立看板、園内放送により来園者に周知徹底。
を行いました。立看板(画像1)設置や園内放送は従来の管理対応ですが、間隔が密にならないための目印ポイントの設置(画像2)の対応に苦慮しました。
来園者の安全を第一に考えた対応ではありますが、密にならないための誘導、飲酒禁止に理解を得ることができるか、通常の巡視対応に加え、巡回強化ための職員配置など、準備に追われる毎日でした。
結果的に全国的な花見の自粛ムードにより、密集・密接することはありませんでしたが、多くの人に観て楽しんでいただくことなく散っていく桜を眺めるのは、今年で最後にしたいものです。
3、最近の動き
その後も感染拡大防止に伴う対応として、公園管理者からの要請に基づき、野球場、テニスコート等の運動施設や貸会議室の閉鎖、ゴールデンウィーク期間中の駐車場閉鎖、遊具の使用禁止など、感染予防における様々な対策を実施しました。
時間的余裕のない中での公園利用者への周知徹底は難しく、速攻性のあるホームページやSNS等の活用について必要性を再認識させられました。
現在においても、3密を防ぐための必要な措置を講じながら、全ての施設を開放しています。
感染拡大の第2波が懸念されていますが、この記事が皆様の目に触れる頃には、新型コロナウイルス感染の終息の見通しがたっていることを願うばかりです。
画像1 画像2