事例報告「(1)滋賀県営都市公園の管理について」

苗村 光英氏(滋賀県土木交通部都市計画課参事・公園緑地担当GL)より

【行政の視点から滋賀県営公園の管理について紹介】

1)滋賀県営公園における管理運営の現状

○滋賀県では、奥びわスポーツの森、湖岸緑地、びわこ地球市民の森、びわこ文化公園、春日山公園、尾花川公園を6つのグループに分け、指定管理者による管理を実施しています。

○平成22年度以降、指定管理者制度を導入してから公園利用者数は増加(平成25年度240万人、約40万人増加)しています。理由は、湖岸緑地におけるウォーキング、サイクリング、ドライブの人気の高まり、また、京阪神、名古屋の旅行会社が湖岸周辺を巡るバスツアーを商品化した影響が大きいと考えます。

○びわこ文化公園では、里山の自然や古代の製鉄所跡の遺跡を守ろうと活動するボランティアが増えてきており、これらのボランティアの活動を支えることやボランティ団体同士の人間関係を含め調整を行うことも公園管理の仕事と考えています。

○びわこ地球市民の森では、生物多様性の森をつくることを目指して、野洲川の廃川敷を利用し、県民の協力で苗木を植える等の緑化活動を行っています。最近は木の成長と共に、草が生茂り、虫や獣が出現する状態です。周辺地域の迷惑施設にならないような配慮が必要になっています。また大型遊具を利用する人々を植樹や維持管理に協力してもらう工夫が必要であると考えています。

○公園に関する防犯上の指針については、トイレの出入口を2箇所確保し、犯罪等が発生しないようにしています。

2)指定管理者による公園管理に向けて

○滋賀県営公園の特性としては、防犯上の対策として高木の下枝や低木は見通しを確保するよう維持管理を行います。また、草刈、軽微な修繕は、早期対応を行えば、労力が少なくて済みます。

○最近は公園を迷惑施設と意識している市民が増えています。指定管理者は草刈、掃除だけでなく市民、住民との間に立って調整・早期の対策をすすめることが必要です。こうあるべきだと決めてしまわず、地元の意見を聞きながら調整・対策を進めることが大事ですし、利用者に対するアンケート調査も意見把握に有効なので、指定管理者に調査をお願いしたいと思います。

○最近は、指定管理者から地域といっしょに管理運営協議会を立ち上げ、地元の意見を聞きながら公園管理運営を進める提案がありますが、うまく機能しているとは言えません。仲の良い人々だけが集まって行っている例があり、できるなら色々な当事者を集め、バーベキュー等の利用対立を含め、管理運営協議会で話し合ったほうがよいと考えます。

○昔の公園は、あれもダメ、これもダメという看板が多かった。ダメというのは簡単だが、指定管理者が変わるたびに方針も変えると、最も困惑するのは利用者であるということを理解し、管理に携わっていただきたい。